クレタ島における全正教会議『聖にして大なる公会』について世界の正教徒の学者による公開書簡
私たち本書簡の署名人である世界各国の正教徒の学者からなるグループは、正教会の各指導者・全世界の正教徒、そして全ての善意ある人々に宛てこの書簡を送ります。
私たちは私たちの教会への深い関心からこの書簡を書いています。教会の一致はハリストス(キリスト)における新生を全ての人々に明らにするものです。
私たちは開催が差し迫った、これ程までに待ち望まれ長い期間をかけて準備されて来たこの公会議が、聖神(聖霊)の数々の恵みをもたらすように、とりわけ汎正教レベルでの一致を第一にもたらすように祈っています。それ故に私たちはジュネーヴでの汎正教会議において本年1月に各国の正教会の指導者たちが合意し公に発表した『聖にして大なる公会』開催のため6月中旬にクレタ島に集まるという決定を支持します。
私たちは公会議の公文書の草稿類と事務手続きについて重要な懸念が上がっているにせよ6月に公会議を開催するにあたっての乗り越えられない障壁は全くないと信じています。私たちは公会議公文書草稿類の再討議要求などそれらの懸念のいつくかが正統な要求であることを認識しています。私たちはまた、21世紀における教会が直面している多くの別の問題があり、将来汎正教レベルでの注目が必要であることを認識しています。
しかしながら、私たちは今日における教会内の深刻な紛争を解決出来る最善の場は、いにしえの時と同じく公会議をおいてないと確信しています。今再び公会議開催を延期することは正教会が公会議で様々な問題解決を図ってきた公会議主義の原則の全世界レベルでの適応の失敗となります。もちろん10日間の会期の公会議ですべての重要な問題と各国教会の紛争が癒されることは期待していません。しかし私たちはこの公会議がそれらの問題を癒す契機となること、そして先触れとなることを世界規模での公会議主義の実践と一致の先触れとなることを願っています。
再延期によって公会議の働きを台なしにすることを願う正教会の代表者達は、今年の聖神(聖霊)降臨祭に公会議を開くというと誓約を実行しようとする多数派の正教会の指導者たちを脅かすべきではありません。前世紀において正教会は豊かな神学上の遺産と新致命者(殉教者)達の血によって世界に証しをなしました。『聖にして大なる公会』は正教の証の新たな段階の始まりの契機となるでしょう。全世界の人々が正教会に注目している今、私達は全ての指導者達に聖神(聖霊)の公会議による一致の呼びかけを聞くように懇い願います。